目的

案件先でどのように振る舞えば活躍することができ、自身の単価向上に繋がるのかを明示的に示すことにより、より良いキャリア形成を行うための道標を立てる。

基本的な考え方

顧客が支払っている金額以上の価値を提供できている人 = 現場で活躍している人であり、単価UPをしても良いと考えてもらえる人である。案件先が変わるタイミングでは、これまでの参画実績や業務内容が特に参考とされるため、良い経歴を積むことが非常に重要となる。

ただし、良い経歴の本質的な意味について多くの方が誤解しているため、後述する内容をしっかりと理解すること。

プロジェクトに対する理解

案件先で活躍し単価UPを目指すにあたり、そもそもプロジェクトとはどういうものなのかを認識することが極めて重要となる。しかしながら、プロジェクトの立ち上がりからリリース、そして運用保守まで一貫して携わったことのあるエンジニアは意外と少ない。更に、そもそもプロジェクトが立ち上がる前の検討フェーズから予算取りまで携わったことがあるエンジニアは殆どいない。

従って、具体的な方法論に移る前にプロジェクトという生き物に対する説明を行う。

事前検討

システム開発のプロジェクトは達成したい目的や解決したい課題がある程度顕在化してきた段階で検討フェーズへと進む。例えば「3年後に100億円の利益を出す」という経営目標に対し、利益率改善のため業務効率化を行う手段の一つとしてシステム開発が挙がるなど。

基本的にシステム開発そのものは顧客の目的ではなく、目的を果たすための手段の一つでしかないため、システム開発以外の手段と合わせ様々な検討が行われる。達成したい目的の大きさや投入される予算規模に応じてその検討期間は長くなり、3年や5年に渡り検討を重ねることも少なくない。

予算取り

事前検討が概ね完了すると、プロジェクト実行にかかる予算の確保フェーズに進む。顧客となる企業は当然のことながら無限にお金を持っている訳ではなく、当該プロジェクトの実行に必要な予算を、会社全体の予算の中から割り当ててもらう必要がある。この予算取りという業務は想像以上に難しく、予算が承認されるまで課長, 部長, 事業部長, 社長…といった複数人の承認が必要となるケースが殆どである。

当然、承認を得るためにはそれ相応の納得できる説明が必要となるため、一筋縄でいくものではない。XXに1億円使いたいです!といって、その根拠や妥当性を説明することを想像してみてほしい。多くの人には、どう説明すれば良いか皆目見当もつかないだろう。

更に言うと、皆さんが参画しているプロジェクトの多くは数十億 ~ 数百億の規模感である(全体予算として)

実行

長い事前検討と大変な予算取りを経てようやくプロジェクトは開始される。プロジェクトが進むにつれ、要件漏れ/誤り/変更などの想定可能な問題から、急激なインフレによる人件費の高騰などの想定できない問題が多発する。そういった事象にも耐えられるよう予算はバッファを持って組まれているものの、問題の規模によっては当初予定していた予算では足らず追加の予算を獲得するという事態になることも稀にある。

従って、プロジェクトが上手くいっていれば、バッファの分だけ余裕がある形となるため単価UPのリクエストも比較的通りやすい。逆を言えばプロジェクトが上手くいっていないと予算が逼迫している形となるため、単価UPのリクエストは通り辛い。それどころか、予算が逼迫してくると人員追加が出来ない、人員追加出来ても微妙な人しか来ないといった負のスパイラルに陥ることもしばしばある。

つまり、プロジェクトが上手くいくよう貢献することこそが、そのまま自身の単価UPの可能性を高めることに繋がる。